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カスラック　カスラック　僕らカスラックだから
カスラック　カスラック　夢のカスラックだから


僕は御存知カスラックの一番下で活躍してる
末端社員さ悪役　みてぇに言われるけれどバスジャック
なんかするヤツよりは悪くねぇ　、むしろ音楽著作権守るため
正義の鉄槌下すだけ　喰らったヤツはみんな腰砕け
できるだけ多くの使用料　奪い取りたいけど非合法な
方法はダメ!!だって社団法人　なんだから襟正し社会奉仕
の気持ちでやらないとヤバい今日日　こんな商売他にないだろうし
過労死するきゃねぇが今日も外回り　カモを探してドサ回り


チョット前から目ぇ付けてたピアノバー　生演奏でイパネマの
娘をはじめとするボサノヴァ　いっちょ懲らしめに行かねば
ソノ店の名前は「銀河の小鳥」　オレはいわゆる「捜査ofおとり」
一見さんの客を装い　本性を隠し気配を殺し
何食わぬ顔で店内に侵入　陳腐なカウンターと小汚いソファー新旧
取り揃えたレコード珍獣の置物　「お飲み物は？」と声かける店主
年の頃なら6〜70　席数はだいたい2〜30
流れる音楽は四六時中　「仕事中なのでミックスジュース」


シワシワの手をしたマスターが置いたボロボロのコースターは
数十年を要した　 この店の歴史のようだな
なんてセンチな気分抑えつつ　頃合い見計らって切り出す


「マスター、ビートルズのイエスタディ、弾いてもらえますか？」


確たる証拠掴むため　うまくいきゃコッチゃぁウハウハでぃ
マスターあんた迂闊だねぇ　オレをダレだか気がつかねぇなんて
弾いた!弾いた!弾きやがった!!食器洗うため袖まくった
その腕の先端の十指で　アノ名曲を必死で、弾いた!!


遂に掴んだ犯罪の証拠　心配ですよマスターの老後
これで次回のボーナスが増える　ニヤニヤしながら耳傾ける
演奏が終わったら小さく拍手　近い将来アンタから搾取
するけどそん時は恨まないで　悪いけどコッチも仕事なんで
程よきところで席を立つ　ミックスジュース代を出す
そこでおもむろに言うのさ　オレの決めゼリフを聞くのだ!!


「このお金の何パーセントくらいが、著作権使用料に消えるんでしょうね・・・じゃぁ　また来ます。」


早速、古賀財団ビルに入居する　我が社に小躍りで急行する


「あ、どうして古賀財団ビルなのか、ってギモンに思ってもネットで検索したりしないでね」


上司への報告はつつがなく　むしり取る金額をはじき出す
睨まれたカエルには打つ手無く　キッチンの片隅でむせび泣く
365×10×8×あ、今日は何日だっけ？
シメて500万円也　10日後までに揃えなよ耳
ゴネるなら裁判にまきこまれ　ますよ　そこで出ちゃうよ答え
とりあえず全部仮差し押さえ　ピアノもアンプもマイクでさえ
「将来著作権侵害の恐れアリ」　専門家でさえ「マジでそれアリ!?」
って耳疑うような判断が　下されるのさこの裁判官から


結局、ちょっとだけまけてあげて回収終了　今回の件は僕が最優秀賞
って天狗になってる最中っちゅーのに　次のカモ探しにさぁ行（ゆ）くぞ
っていうかあの滑稽な判断がオッケーなら　結構何でもオッケーじゃねぇ〜？
おやおやそこの楽器屋さん　景気はどう？すごい活気やなぁ
僕が来たからって殺気立たん　でもえ〜やんとりあえずアッチから
並んでるギターとドラムと　ベースとスピーカーもアウト
「将来著作権侵害の恐れアリ」　ってことで、全部差し押さえたい


はいはいそこの女学生　世の中そんなに甘くネェ
鳴らしてたよね指パッチン　悪いんだけどね即罰金
ダレが聞いてもウエストサイド　ストーリーここで会ったが最後
「将来著作権侵害の恐れアリ」　で、その指差し押さえたい


はいはい、そこの道行くモヒカン青年　口ずさんだねよねアイアン・メイデン
「将来著作権侵害の恐れアリ」　で、その口を差し押さえたい


はいそこのあなた
今4分33秒黙ったね　完全にジョンケージの曲歌ったね
さっさとよこしなよ君の金　やったね!!だって僕らは〜

カスラック　カスラック　僕らカスラックだから
カスラック　カスラック　夢のカスラックだから



ウチの理事長は頑なに　文部官僚の天下りだから
ムダに高い高い報酬　そのためにオレらはせっせと徴収
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